時価総額はグーグル(Google)の2倍強だった

マイクロソフトの時価総額は2006年10月時点では、グーグル(Google)の2倍強あった。2760億ドルだった。GoogleがYoutubeを買収したころの話である。

また、保有する現金など手元資金は340億ドルだった。グーグル(Google)の3.5倍だった。

パソコンOSの独占企業への警戒

グーグル(Google)は、パソコンOSの独占企業だったマイクロソフトへの警戒心が強かった。閲覧ソフトのネットスケープ・コミュニケーションズなどマイクロソフトに勝負を挑み敗れた企業の例は多い。「OSの高いシェアを背景に、何でも力でねじ伏せる会社」。そんなレッテルを張られたマイクロソフトが他社を引き寄せるのは楽でなかった。

フェイスブックと広告で提携

2006年8月にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のFacebook(フェイスブック)とまとめたネット広告での提携は数少ない例だった。しかし、その後、フェースブックをヤフーが買収するとの観測が浮上した。

かつてマイクロソフトはヤフーに資本提携を持ちかけたとされる。ヤフーのテリー・セメルCEO(当時)は提案を拒否した。だが当時に比べヤフーの経営環境も変化した。成長鈍化が著しくなった。

グーグル(Google)への対抗策

マイクロソフトは2005年9月、7つあった事業部門を3つに統合した。それにより、ウィンドウズとMSN部門を一体化した。ネット検索や電子メールなどのサービスを提供する「ウィンドウズ・ライブ」などグーグル(Google)への対抗策を打ち出した。

その後もネット広告販売に「アドセンター」と呼ぶ独自の仕組みを導入した。2007年6月期の研究開発費を前期比六割増の11億ドルに引き上げた。

M&Aで時間を買う

しかし、事業モデルや技術の変化が激しいネットの世界で、自前主義が限界を迎えた。パソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」に依存したままでは成長戦略を描けなくなった。

マイクロソフトにとっては、M&A(企業の合併・買収)は「時間を買う」有効な手段となった。

チーフ・ソフトウエア・アーキテクト

ソフト開発の総責任者「チーフ・ソフトウエア・アーキテクト(CSA)」を務めるレイ・オジー氏は2006年7月末、アナリスト向け年次会合で、「パソコンの時代からネットの時代に変わった」と語った。(長井

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